大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和37年(行)28号 判決 1962年9月13日

原告 萩原佑介

被告 衆議院 外一名

主文

本件訴は、いずれもこれを却下する。

訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

原告の求める裁判とその主張は、別紙添付訴状記載のとおりであるが、その請求原因の要旨は、

原告の被告等に対する当庁昭和三六年(行)第一〇八号事件について、法務省職員横山茂晴、同佐藤恵三らを被告等の指定代理人として右事件の口頭弁論期日に出廷させたことは違法であるから、これが違法確認とこの違法な事実により原告の被つた損害の賠償に代えて、謝罪広告の新聞紙上への掲載を請求する。との趣旨と解されるところ、国又は国家機関を当事者とする訴訟についての、法務大臣等による訴訟代理人の指定は、国民の権利義務に直接影響を及ぼす行政権の行使に当らず、また仮に訴訟代理人の指定が違法であつても、専ら当該訴訟においてこれを争えば足りるのであるから、訴訟代理人の指定行為の取消しないしはその違法確認を求める訴は権利保護の要件を欠き許されないものと解すべきである。次に、原告は、被告等に対し損害賠償としての謝罪広告の掲載を請求しているが、国家の機関に過ぎない被告等には、かかる訴について被告適格を有しない。

以上の次第で、本件訴はいずれも不適法であつてその欠缺は補正できないものであるから、民事訴訟法第二〇二条により口頭弁論を経ないでこれを却下することとし、訴訟費用については同法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 白石健三 下門祥人 町田顕)

別紙訴状<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例